AppSheet(アップシート)の活用事例(2) 問い合わせ管理

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Google が提供するノーコード開発プラットフォーム「 AppSheet (アップシート)」の基礎的な解説シリーズです。
AppSheetは、さまざまな業界や用途で活用されています。第4回は、 問い合わせ管理 における活用事例を紹介します。
この記事は、これから情報を集めて検討しようとしている企業の担当者様向けに、初歩から解説しています。
現場主導の業務改善、ノーコード開発、Google Workspaceと連携したデータ活用やDX推進に関心がある方は、是非参考にしてください。

1. 問い合わせ対応が非効率になる理由

問い合わせ対応が非効率になると、以下のような悪影響やデメリットが生じる可能性があります。

  • 問い合わせ対応の遅れや不備により、顧客の不満やクレームが発生する
  • 問い合わせの内容を正確に把握できないことで、誤った対応をしてしまいトラブルが発生する
  • 問い合わせ対応に時間や手間がかかることで、担当者の業務効率が低下し、他の業務に支障をきたす

問い合わせ対応が非効率になる理由として、以下の3点が考えられます。

問い合わせ内容が定型化されていない

問い合わせ対応が非効率になる要因として、問い合わせ内容が定型化されていないことが挙げられます。問い合わせには、商品やサービスに関する質問、不具合やトラブルの報告、クレームなど、さまざまな種類や内容があります。電話、メールでの問い合わせは定型化されておらず、記載内容がバラバラになりがちです。具体的には、

  • 顧客の名前や連絡先が書いていない
  • 該当する商品が特定できない
  • そもそも問い合わせ内容が不明

ということがあります。担当者は問い合わせの内容を把握するために、電話やメールのやり取りで情報を確認しますが、確認に手間がかかります。このため、問い合わせ対応が遅れたり、ミスが発生したりするリスクが高まります。

問い合わせの記録が残りにくい

問い合わせの記録が残りにくいことも、問い合わせ対応が非効率になる要因です。電話やメールでの問い合わせは、紙にメモしたり、メールで返信するだけなど、記録が残りにくい方法で対応されることが多いです。このため、問い合わせの内容や対応状況を後から確認するのが困難になり、顧客満足度の低下やトラブルの発生につながる可能性があります。

また、問い合わせ記録を残して、履歴化するために、紙メモやメールの内容をスプレッドシートに転記する手間が発生します。この手間は、担当者の業務負担を増加させるだけでなく、転記ミスが発生するリスクも高めます。

問い合わせ対応の最新情報が分かりにくい

問い合わせ対応の最新情報が分かりにくいと、問い合わせ対応は非効率になります。電話やメールでの問い合わせは、担当者以外にも共有されていなければ、対応状況が分かりにくくなります。具体的には、

  • 対応状況のステータス(未対応、対応中、完了など)
  • 問い合わせの優先度
  • 期限
  • 担当者

といった情報が、一覧で確認できないことが多いです。このため、

  • 問い合わせの優先順位を判断したり、対応状況を管理したりするのが難しくなる
  • 問い合わせ対応が遅れたり、ミスが発生したりするリスクが高まる

という問題が発生する可能性があります。また、問い合わせ件数が多いと、対応する担当者の負担が大きくなり、さらに対応状況の把握が難しくなります。

以上のことから分かるように、電話やメールだけに頼る問い合わせ対応は、業務が非効率になる傾向があります。問い合わせ対応業務を効率化するために、問い合わせ内容の定型化、問い合わせ記録の保存、問い合わせ対応の進捗状況の可視化を実現できる仕組みやシステムの導入を検討する必要があります。

お問い合わせ対応に時間がかかる3つの理由がある。

 

2. Googleフォームと AppSheet で 問い合わせ管理 を効率化する

GoogleフォームとAppSheetを組み合わせることで、問い合わせ対応業務を効率化することができます。

フォームで問い合わせ内容を定型化する

Googleフォームで問い合わせフォームを作成することで、問い合わせ内容を定型化することができます。問い合わせフォームには、会社名、担当者氏名、メールアドレス、問い合わせ種別などの質問項目を追加します。これにより、問い合わせ内容を把握するのに必要な情報が、すべてフォームに入力されるようになります。

Googleフォームに質問項目を追加するだけで問い合わせフォームを作成できる。

 

スプレッドシートに問い合わせ記録を残す

Googleフォームで作成した問い合わせフォームは、Googleスプレッドシートとリンクさせることができます。これにより、フォームから提出された問い合わせ内容が、自動的にスプレッドシートに反映されます。スプレッドシートに直接書き込まれるので、転記の手間を省き、ミスを防ぐことができます。これにより、問い合わせ内容を後から確認したり、検索したりするのが容易になります。

Googleフォームから送信された問い合わせ内容は、スプレッドシートに記録できる。

 

受付ワークフローを自動化する

Google Apps Script(GAS)やAppSheetのアドオンを使用して、問い合わせ受付のワークフローを自動化することができます。例えば、

  • 問い合わせが送信された際に、顧客に自動返信メールを送信する
  • 担当者にメール通知やGoogleチャットで通知する

といったことができます。これにより、担当者の負担を軽減し、対応漏れを防止することができます。

GASやアドオンを使用して自動返信メールやメール通知、Googleチャットへの通知ができる。

 

最新の対応状況を可視化する

AppSheetで作成した問い合わせ管理アプリで、問い合わせのステータス管理や対応履歴を記録します。これにより、現在のステータス、優先度、期日、担当者など、問い合わせ対応の最新状況を一覧で確認することができます。問い合わせの優先順位を判断したり、対応状況を管理したりするのが容易になります。

アプリで問い合わせ対応の最新状況を可視化、一覧で確認することができる。

 

3. 問い合わせ管理 アプリの設計

AppSheetによる問い合わせ管理アプリの設計は、以下のようになります。

  • GoogleフォームとGoogleスプレッドシート(フォームの回答 1)をリンクさせる
  • フォームの回答 1に、ステータス、優先度、期限、担当者などの列を追加する
  • フォームの回答 1に、担当者マスタと対応履歴を関連付ける

 

 

問い合わせ管理アプリのワークフローは以下のようになります。

  1. 顧客がGoogleフォームから問い合わせを送信する
  2. Googleフォームにリンクされているスプレッドシート(フォームの回答 1)に問い合わせ内容が反映される
  3. GASやAppSheetのアドオンを使用して、顧客に自動返信メールを送信し、担当者にメールやGoogleチャットで通知する
  4. アプリで、問い合わせのステータス、優先度、期日、担当者を設定する
  5. アプリで、問い合わせに関連する対応履歴を記録して、ステータスを変更する

4. AppSheet の導入効果

AppSheetを活用することで、以下のような効果が期待できます。

問い合わせ対応業務の効率化

電話やメールによる問い合わせ対応では、担当者は問い合わせ内容を紙メモやメールで確認する必要があります。そのため、確認に手間がかかり、対応が遅れたり、ミスが発生したりする可能性があります。
AppSheetを活用することで、問い合わせ内容をフォームで定型化し、アプリ上で一覧表示することができます。これにより、問い合わせ内容の確認にかかる手間を省き、ミスの発生を防止することができます。

受付ワークフローの自動化と見逃し防止

問い合わせ受付のワークフローを自動化することで、担当者が受付メールを作成して顧客に送信する手間を省くことができます。また、問い合わせを受信した際に、GASやAppSheetのアドオンを使用してメールやGoogleチャットで通知することで、見逃しを防止することができます。

問い合わせ対応の最新情報を可視化

AppSheetを活用することで、問い合わせのステータスや優先順位、期日、対応履歴などを一覧表示することができます。これにより、問い合わせ対応の最新状況を把握しやすくなり、優先順位の判断や対応状況の管理を効率化することができます。

以上、GoogleフォームとAppSheetを組み合わせて、問い合わせ管理アプリを作成することで、問い合わせ対応業務の効率化を実現することができます。GASやAppSheetのアドオンを使用して受付ワークフローを自動化したり、アプリでステータス管理や対応状況の最新情報を可視化することができるので、問い合わせ対応の品質向上と顧客満足度の向上を実現することができます。

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